不動産屋(宅建業)を開業することを決意した後における宅建業開業までの大まかな流れを以前解説させていただきました。
不動産屋で独立までの大まかな流れ
今回は、宅建業の免許申請から宅建業の免許証を受け取り正式な営業開始を行うフローに焦点を当てて解説してみたいと思います。
宅建免許申請を弊所に代行依頼いただいたお客様から「宅建免許を申請した後、何をいつまでにすればいいですか?」という質問を頻繁に頂きますので、ここで整理してみました。
各都道府県や宅建協会が作成したフローチャートは、行政側の手続きが入っていることが多く、全てのパターンや細かい解説を包含しているので、正直分かりにくいですね。
そこで、宅建免許申請後において「免許申請者自ら」が行う必要な行動を中心として以下まとめてみます。
観点としては、
【行動】自分自身で動く(準備する)必要があるのか?
【場所】どこで、どこ宛てにという場所
【準備物】そして何を準備するのか?
という3点で整理してみました。
前提条件としては、
・東京都知事免許(本店のみ)
・宅建免許申請と宅建協会・保証協会等への加入手続きは行政書士に委託する。
・営業保証金は、特例の保証協会への弁済業務保証金分担金60万円制度を活用する。
免許申請が無事受理されても次から次へと必要手続きが襲い掛かります。
まずは、下の図を見てください。
これだけでも膨大な手続きが必要ですね。
これでも、かなり分かりやすく作成したつもりです笑
それでは各ステップについて詳細解説していきます。
ステップ1:宅建免許申請
宅建免許申請は、各都道府県の窓口に出向いて申請する必要があります。
今回のケースでは行政書士に委託することを想定しているので、ここでは詳細割愛します。
なお、申請の際に申請手数料が33,000円必要なので、行政書士に立て替えてもらうか、先に預り金として渡しておく必要があります。
※弊所の場合は、着手金に加え33,000円をお預かりさせていただいております。
ステップ2:宅建協会等加入手続き
宅建協会「等」とは、宅地建物取引業協会(宅建協会)、宅地建物取引業保証協会(保証協会)、宅地建物取引業協同組合(宅建組合)、宅地建物取引業政治連盟(政治連盟)の4団体を指します。
宅建協会、宅建保証協会は強制加入ですが、宅建組合、政治連盟は任意加入と「建前上は」なっています。レインズの使用要件が宅建組合に加入であったり、政治連盟への加入で各種入会金が割り引かれるなどの制度があるので、実際は4団体に加入することをお勧めいたします。
この宅建協会等加入手続き書類は、ステップ1の宅建免許申請より相当多いので、提出漏れ、記載漏れの場合は何度も協会を往復する必要があるので、自分でやらないほうがいいいです笑
ステップ3:宅建協会への振込
営業保証金に代わる弁済業務保証金分担金の正式な納付は、宅建免許通知後でありますが、実際には、宅建免許通知を受領する前に、宅建協会等への加入金などと同時に一括して事前振込を行う必要があります。
この段階で、100万円超がキャッシュアウトしていくことに要注意です。
振込手続きは当然、申請者である代表本人に行っていただく必要があります。
ステップ4:宅建免許通知書 到来
無事、宅建免許申請の審査が完了すると、本店事務所に「免許通知書ハガキ」が送付されてきます。
この段階では、まだ宅建業の営業を開始することができないことに注意が必要です。
ステップ5:宅建協会への通知
送付されてきた「免許通知書ハガキ」のコピーを宅建協会にFAXまたは持参していただき、宅建協会に免許通知書の到来を知らせる必要があります。
これは申請者である代表本人におこなっていただく必要があります。
ステップ6:保証協会への供託
このステップは何もする必要がありません。宅建協会がステップ3で預かっている弁済業務保証金分担金(60万円)を保証協会へ預け替えを行います。この手続きは宅建協会によって変わりますが、通常週1回の手続きとなるので、ステップ5の通知をなるべく早くやったほうがいいです。
ステップ7:保証金納付書の受取
弁済業務保証金分担金の預け入れが完了した時点で、保証協会から「弁済業務保証金分担金納付書」が発行され、本店に郵送されてきます。
この郵送対応は1週間程度かかるので、一日でも早く営業開始して次のステップに進みたい人は、宅建協会の本部に取りに行くと時間短縮となります。通常は郵送対応されるので、事前に「取りに行きます!」と電話連絡をいれておくとスムーズです。
ステップ8:宅建免許証の受取
「宅建免許通知書」と「弁済業務保証金分担金納付書」を持参して、都道府県の宅建業免許申請窓口に出向きます。これでようやく「宅建免許証」が交付され、晴れて宅建業の営業開始が可能となります!
この際、注意が必要なのは、宅建免許通知書に代表印を押印してから持参することです。
なお、免許通知書の到来から宅建免許証の受取までは3か月以内に行わないと免許が取り消されますので注意が必要です。
ステップ9:宅建協会又は全日不動産の現場立会
免許取得後約1か月以内に、宅建協会の支部担当者による現場立会が行われます。この際、代表と専任の宅建士が面談の対象となりますので、アポイント後は出張などを入れないように注意してください。
※なお、宅建協会、全日不動産の立ち合いは、免許取得の前に行われる場合が多いです。上記のステップで言えば、ステップ2~3の間に立ち合いが行われる「事前立ち合い」もあり得ます。宅建協会、全日不動産の違い、支部の方針によって異なるので事前に確認しておきましょう。
準備物としては、宅建業申請時に設置したものに加えて「宅建業者票」、「従業者名簿」、「従業者証」の3点セットです。この3点セットは宅建協会にて販売しているので、早めに購入しておくことをおススメいたします。
宅建免許の審査自体は書類審査ですが、宅建協会の調査は現場で行われます。この際、申請と違う状況であるのは当然マズいです。免許取得後に事務所の応接や事務所表札を撤去したりする方が時々いますが、これは非常にマズいです。
さて、いかがでしたでしょうか?宅建免許申請から営業開始までの手続きの流れを見てみました。不安に思うところがあれば行政書士などの専門家や宅建協会のご担当者に相談しながら進めましょう!