許認可庁による事務所審査

宅建業の免許申請に当たって、申請者であるお客様からいつも聞かれることとして「事務所の現地調査は来るのですか?」というご質問を頂きます。

結論から申し上げますと都道府県(都道府県知事免許の場合)や各地方整備局(国交省大臣免許の場合)などの許認可庁による審査は全て写真と図面審査のため、現地確認は実施されません

従って、詳細に図面と写真で事務所の状況を説明していくことになります。

協会による事務所審査

一方で、各地の宅地建物取引業協会や全日本不動産協会の入会審査に当たっては、事前又は事後に現地確認がなされます

開業間もない宅建業者は、弁済業務保証金分担金制度(本店60万円)を活用するでしょうから、地域の宅建協会(ハト)又は全日本不動産協会(ウサギ)に入会することになるのが通常でしょう。

この協会の入会審査は公的な宅建業の免許審査でなく、あくまで協会に入会を認めるか否かという観点での現地調査なので、性質が異なります。

「事務所の現地調査がある」というのは審査庁による現地調査でなく、実は、協会の現地調査のことを指しているのです。

だからといって甘く対応していいものではありません笑

通常、協会の現地確認担当者は、支部の会員である同業の宅建業者の役員の方が現地に来られるので、厳しい人もいれば、甘い(失敬!)人もおられるのが実情です。

事前と事後で異なる準備物

さて、先ほど、事前又は事後と申し上げましたが、次のように事前と事後では対応が異なるので注意が必要です。

協会の支部の方針によって、事前審査、事後審査の方針が異なりますので個別には行政書士や入会する支部に確認しておきましょう。

また、よくある質問として、「アポが入るのか?抜き打ちなのか?」というご質問も受けますが、通常は、紳士的にアポが入りますのでご安心ください。

事前審査の場合

宅建業は宅建業の免許証を取得して始めて営業を開始することができます。この宅建業免許証の取得前は、宅建業者でありませんから、申請時点で写真にて提出した以下のような事務所要件が完備されているか否かが重要となります。

ポストの表札
事務所の表札
事務スペースの配置
応接セットの配置
固定電話の配置(開通)

これらは宅建業の免許申請上、写真と図面で説明しているはずなので、申請通りの配置がなされているかをチェックします。

しかしながら、宅建業者ではありませんから、次の事後審査に必要な設置物はなくても構いません。(というより無いべきなのです)

事後審査の場合

事後調査の場合は、免許証を取得後の事後調査の場合は、既に宅地建物取引業者でありますので、上記の事前審査の設置物に加えて次のような設置物を事務所に準備しておく必要があります。

従業者証明書(宅建業に従事する者全員に携帯させる)
従業者名簿(事務所に備え付けておく)
業者票(事務所内の見えやすい部分に掲示)
報酬額表(業者票の付近に掲示)

※これらは、地域の協会で販売していますので、事前に買っておきましょう。
業者票は、カッコいいものを作りたければ、免許が下りると同時に掲示できるように事前に手配をしておくべきでしょう。

なお、宅建業法49条の規定の取引帳簿の備付については、開業したばかりで取引はないかもしれませんが、雛形を準備しておくと尚更印象がいいでしょう。
(営業を継続するに当たっては、取引帳簿は必要なので、準備しておきましょう)

代表と専任でお出迎え

以上、事務所に関する協会の入会審査のキモをご説明させていただきました。

協会の事務所調査の際は、必ず「代表者」と「専任の取引士」が同席して出迎えてください。

特に、専任の取引士は、「事務所までどのように通うのか?」などの通勤ルートなどがヒアリング対象となります。

もう一度、「専任」とは?を思う浮かべて回答する必要があるのは当然ですね。