晴れて宅建士試験に合格された皆様。おめでとうございます!

大声では言いたくないのですが、宅建士は、他の士業より正直めちゃくちゃ儲かります笑 ただ、レッドオーシャン的な分野もあるので参入するには相当に見極めが必要だと思います。

今回は、今後、宅建士を取得してこれから不動産屋で独立を考えている方に正式な宅建士になるまでの道のりを解説してみたいと思います。

まず、宅地建物取引士(宅建士)とは何ぞや?という基本的なところから整理してみます。

宅建士の試験で学習されたかと思いますが、まずはお堅いところから宅建業法に定める「宅地建物取引士」の定義の条文を見てみましょう。

第二条四 宅地建物取引士
宅地建物取引士 第二十二条の二第一項の宅地建物取引士証の交付を受けた者をいう。
第十八条 宅地建物取引士の登録
試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、国土交通省令の定めるところにより、当該試験を行つた都道府県知事の登録を受けることができる。

第二十二条の二 宅地建物取引士証
第十八条第一項の登録を受けている者は、登録をしている都道府県知事に対し、宅地建物取引士証の交付を申請することができる。

正直眠たいですね笑。

この条文をまとめると正式な宅地建物取引士になるには、3つの要件があることがわかります。

宅地建物取引士になる3要件
【要件1】宅建試験に合格すること
【要件2】試験を実施した都道府県知事の登録を受けること
【要件3】当該知事の発行する宅地建物取引士証の交付を受けること

これを全部クリアして始めて正式な宅地建物取引士として重要事項説明など不動産契約の根幹に関わる仕事ができようになります。

宅建業を開業する場合は、「専任の宅建士」の設置義務があるということを考えると、宅地建物取引士試験合格後のステイタスとしては、以下の4つがあるということになります。

①宅地建物取引士試験合格者
②宅地建物取引士登録済者
③宅地建物取引士(取引士証保有)
④専任の宅地建物取引士

それぞれ解説していきます。

①宅地建物取引士試験合格者

宅建試験に合格した人で、②の登録を行っていない人。
宅建試験に合格しても、登録は義務でもないし、過去10年以内に2年以上の宅建業での実務経験がなければ「登録実務講習」を受講しないと登録できないことから登録をしない人も多くいます。
しかしながら、将来1ミリでも宅建業に従事する可能性がある人、1ミリでも宅建業を自分で開業しようとする可能性がある人は、②の「登録」だけは早めに済ませておくべきです。

②宅地建物取引士登録済者

正式な宅建士になるためには、③の取引士証を取得しなければなりませんが、この取引士証を取得する前提となるのが、宅建士としての登録です。

ご参考 東京都 宅地建物取引士資格登録申請
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/sinsei/820-02-1-1sinseiyousiki.htm

宅建士の登録ができるのは、次の人です。

1)宅地建物取引業の実務経験が申請時から過去10年以内に2年以上ある人
又は
2)登録実務講習の修了者

1)の実務経験の算入要件について東京都住宅政策本部の解説から引用すると以下の通りとなっています。

東京都住宅政策本部 実務経験の解説
実務経験として算入できる業務内容は、免許を受けた宅地建物取引業者としての業務又は宅地建物取引業者の従事者としての顧客への説明、物件の調査等具体の取引に関する業務をいいます。宅地建物取引業の取引実績がない場合や主たる業務が宅地建物取引業でない場合は実務経験とは認めません。
また、受付、秘書、総務、人事、経理、財務等の一般管理業務、このほか単に補助的な事務は、実務経験とみなしません。

単に不動産会社に勤めていたというのでは実務経験にならないんですね!

宅建免許を有していない不動産オーナー企業で自社物件の管理を行っていたなどは、実務経験に該当しません(自ら貸主は宅建業不要だから)。また、宅建業者に新卒で入った人が1年目に宅建試験に合格したとしても2年以上の実務経験がないため、2)の登録実務講習を受講する必要があります。

この実務経験の証明で注意が必要なのは、過去に宅建業者に勤務していて、その宅建業者を退職後に後宅建士に合格した人は、元の会社に証明書を作成してもらわなければなりません。心情的に貰いにくいという人や、元の会社がどうしても発行してくれないという場合は、2)の登録実務講習を受けざるを得ません。

2)の登録実務講習は、1か月ほどの通信講座と2日間のスクリーニング(会場にて)が実施され、そのスクリーニングの最終日に修了試験があり合格するとその場で修了証が交付されます。

なお、スクリーニング試験は殆どの人が合格できますが、完全に舐めていて落ちる人もいます。
この修了証が1)の実務経験に代わる書類となり、これを申請書に添付して受験した都道府県の窓口に宅建士の登録の申請を行います。

この登録申請後に登録通知が自宅に郵送されてくるのに約1か月程度かかります。

こうして考えると、宅建業者での実務経験がない人が宅建の登録を受けるためには、登録実務講習の受講と登録申請という2つのステップが必要であるため、意外に時間がかかります。

特に、登録実務講習は、予約制であり大体1か月後のものもどんどん予約で埋まっていきますので、宅建士試験に合格して、いの一番の行うべきなのは登録実務講習の受講予約です。

この宅建士としての登録には、手数料が37,000円かかりますが、登録自体は一生有効なので早めに行うことをお勧めします。(これに対して登録実務講習の有効期限は講習修了年月日から10年間の有効)

③宅地建物取引士(取引士証保有)

宅建士の登録が完了すると登録通知証が自宅に送付されてきます。宅建試験合格者が直ぐに行うべき次のステップは、宅建士証の取得です。

宅建試験の合格から1年を経過してしまうと宅建士証取得のための「法定講習」(1日)を受講する必要があり、これも予約制なので結構面倒ですので、速やかに宅建士証の交付申請をしましょう。

宅建士証の交付は、書類さえ整っていれば、即日発行されます。
宅建業に当面従事する予定の無い人は、取引士証の交付申請は不要ですが、手数料は4,500円なので、交付してもらっておくとその後の転職等を考えると取得しておくべきだと考えます。

なお、宅建士証自体は、有効期間が5年となっているので、5年ごとに法定講習を受講する必要があります。
この③のステップを完了させて初めて正式な宅建士となります。

次の④で解説する専任の宅建士になる前提として、宅建士証を所持した正式な宅地建物取引士になっておく必要があります。

こうしてみると、宅建試験に合格者が最短で宅建業の免許申請を行うには、最短でも3か月、登録実務講習の予約状況によっては半年程度かかるとみておくべきです。

しかも、この時点では宅建業の申請ができるだけであり、会社設立、宅建業免許の審査期間を考えると、試験合格から開業まで半年ぐらいは優にかかってしまうことになります。

④専任の宅地建物取引士

専任の宅建士とは、宅建業法三十一条の三、同施行細則第十五条の五の三に規定されている宅建業者の免許基準としての概念であり、宅建試験では一つの事務所の従事するものの5名に1名以上というのは皆さん記憶していると思います。

ここでよくある誤解が、宅建士本人が「専任の宅建士登録」を行うのでなく、宅建業者が宅建士を「専任」として登録するとうことです。専任の宅建士本人に何らかの手続きが必要になる訳ではありません。ただし、業者免許申請時に専任となる宅建士の身分証明書、登記されていないことの証明書、略歴書を提出しなければなりません。

なお、宅建試験の受験には年齢制限はありませんが、専任の宅建士には、「成人」のという要件があります。

宅建業の免許申請においては、設置する宅建士の「専任性」が審査のポイントになります。この専任性は非常に重要であり、かつ、細かいことから、別途解説します。

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